私どもの作るチキントラクターや鶏小屋は30年もの長い間、腐りません。
正確にいうと不朽菌の抑止に30年間の効力があるということになりますが、有毒な防腐剤ではなく天然由来のもので動物や植物に無害のACQという薬剤を特殊な手法で木材に注入しています。
注入とはつまり、塗布ではなく内部まで浸み込ませる処理ということになります。
きちんと注入できることから国産の杉材限定で基本的に地産地消、ユーザーのお住まいの地域の森林から杉の原木を利用し、現地の製材所で私どもの指定する寸法に製材。その後、兵庫県内の注入処理業者で防腐処理をしてもらい新潟の弊社に届けられます。
例えば新潟の方に注文をいただいても新潟の森から出された杉の原木が製材されて、一旦兵庫県まで行って戻ってくるということをしています。輸送経費がかかりますが、求めている品質のためにはとても大切なことなんです。
今日はちょうど5年前に製作し東京都内多摩地区のお客さまにお届けしたチキントラクターチキントラクターのリフォームで数カ所、部材を取り外しましたので、せっかくですから内部が本当に腐っていないかどうか、お見せしたいと思います。
木材を押さえていたビスを取りはずします。
赤線で記した部材をはずしてみます。
お天気も悪かったので濡れてますが、美しいと思いませんか?
まるで少し前に製作したもののように見えますが、本当に5年もの間、草や土の上に置いて鶏を飼ってこられたチキントラクターです。
ご自宅の敷地の中で鶏舎やチキントラクターに“腐れ”が出て、シロアリが住み着いてしまったら瞬く間にお住まいの基礎の中から洗面脱衣やキッチンといった水回りの湿気のあるところにたどり着き、住宅の土台など少しでも不朽菌が発生している場所があれば気がつくとウエハースのようにもろく崩れてしまうんです。
じつはこのチキントラクターは、今現在、移動せずにお使いになっていて、90歳のお父様が3年ほど前に床をすのこ状に張られたんだそうです。
ですが、よくご覧いただくとやはり腐れが出ていて、部分的にはパイ生地のように向こう側が見えているのがわかります。
左端の板はかなりダメージが激しく、ボロボロになっているのがお分かりでしょうか。
もう一度、腐れが出る条件や出やすい部位を考えてみると、
地面に接する部分。(雨水に濡れっぱなしになる。)
部材と部材、つまり木と木が接する部分。(沁み込んだ水湿が乾かない。)
この2箇所は、かなり要注意ポイントです。
上の赤線で表示した写真から、部材を取り外したところをもう一度、ご覧ください。
部材を取り外したら押さえているステープルと金網が現れます。部材と部材が接していた部分ですね。
その状態と腐れが出たすのこ状の板を比較してください。
5年経過したチキントラクターですが、本体に腐れはなく美しいですね。
まだ3年しか経っていない木材がここまで腐ってしまうこともお客様ご自身、驚かれていましたが、
なぜチキントラクターが腐ってはいけないのか。
膨張と収縮を繰り返して弱くなってしまうわけですね。
もちろん人が使うものならいいかもしれませんが、チキントラクターは常に野生動物が鶏を狙っています。
何よりも大切な鶏を守る環境には必要不可欠な条件なんです。