夏涼しくて冬あたたかい・・・
どこかのハウスメーカーのキャッチフレーズにそういうのがありますよね。
私どもは言ってみれば鶏のハウスメーカーであります。
鶏さんが健康にストレスなく、いいものを食べて過ごせることは、同時にいい卵を産んでくれることにつながると考えています。
では、鶏の快適な棲み家とはどんなものでしょうか。
ちょっと器用な方なら作れる鶏小屋なら私どもが作る必要もないはずですし、それを研究してカタチにすることにプロとしての仕事があると考えています。
先ほどの「夏涼しくて冬あたたかい」というのは不自然で、ホントのところは「夏、暑くなりにくくて、冬、寒くなりにくい」ということです。
先日、弊社の不断給餌器・給水器をご紹介しましたが、どちらも15mm厚の杉板に防腐処理したものを使っています。
さて、この15mm厚の杉板がもつ驚くほどの性能をご紹介したいのです。
杉の板は軽いというのは知っておられる方が多いと思います。
燃えやすいということも、、、。
薪ストーブをお使いの方はすぐに燃えてしまって、火持ちが悪いということをおっしゃられるかもしれません。
今回、杉板の特性としてご紹介したいのは、断熱性能なんです。
断熱性能については、冬場に部屋が寒ならないための性能をイメージされる方が多いように思いますが、断熱性能が高いほど外(表側)の温度を中(内側)に伝えにくいというのが正しい表現だと思います。
さて、厚さ15mmの杉板ではどうでしょうか。
わかりやすく夏の酷暑が続いた期間のデータをご紹介します。
測定に使用するのは、FLIR社製TG167 サーマルイメージの付いた放射温度計とInkbird社製の温湿度計をふたつ。
まずは、放射温度計で屋根の棟あたりの表面を測定。
そして、同じく屋根の棟付近の裏側を測定。
そして、ひなたの地表温度を測定。
チキントラクターの中。草がありますが、地表付近の温度を測定。
まとめますと、
屋根の表面 → 58.2 ℃
屋根の裏側 → 45.6 ℃
地表 → 53.9 ℃
チキントラクター内部地表 → 34.6 ℃
となります。
なんと15mm厚の板一枚が、12.6 ℃も温度差を作ってくれています。
そもそも数値的にはめまいがしそうな温度ですが、実際の体感では、お客様も驚かれてましたが、チキントラクターの中に顔を入れてみるとひんやり涼しく感じます。
チキントラクターの設計をする際に、衛生的に不快な状況をできるだけ取り除くことを考えました。
それは簡単に言うと、いかに風を通す構造にできるかということです。
チキントラクターの外部(outside)と内部(innside)の温湿度について、昨年2019年8月3日のデータはこんな感じです。
とくにチキントラクターの巣箱(産卵室)は、換気を重要視しましたが、これを見ると、外気温のピーク37.09 ℃の時に内部は36.3 ℃で、換気が充分にとれているのがわかると思います。
よく納入の際、お客様との会話の中で、
「立派な小屋を作ってくれたね〜。」
「夫婦喧嘩したら自分がこの中に入ろうかな〜。」なんておっしゃる方が少なくないのですが、、、
ほんとに快適かもしれませんよ。笑
ちなみに冬場は、逆のことが言えるんです。
内部の熱(鶏の体温が熱源)を外に逃しにくく換気をとれているということですね。
あくまでも飼養環境を整えるということと過保護は違います。
鶏が健やかに丈夫に育つことが一番重要です。
そのために必要なことはきちんとしてあげたいですよね。。。