かれこれ10年近く昔、毎日毎日、失敗を恐れずに実験を繰り返していました。
毎晩のように鶏を動物に奪われながら、それでも続けなければならないのは、これまでに携わってきた木造建築の伝統工法や森の知識を活かしてチキントラクターを作り上げることで、自分が感じていることを広く伝えられるイメージをしていたからなんです。
どうすれば動物に突破されないチキントラクターが製作できるのか。
24時間、鶏がそこにいても安心できる条件とはどんなものか。
また鶏のストレスをなくす方法があるか。
なぜ、その素材を選ぶのか。
なぜ、そう固定するのか。
答えを導き出すまでには時間もかかりましたし、わかってはいるもののどれほど失敗を繰り返したか、わかりません。
自分で鶏舎をかっこよく作ったんだけど、一夜のうちに動物に全滅させられたから助けてほしい・・・といういくつものSOSの声もありました。
春先の子育て中の獰猛な母狐、鶏舎に一定の隙間があれば楽に侵入してしまうイタチ。穴を掘る力は目を見張るほど力強く早い。
外部からの効力としては、引っ張る、噛み切る、押す、叩く、体当たりするなど、いろんな力を持っている野生動物との知恵比べ。
気がつくとそれぞれの動物の習性を理解していました。
自分で見つけること、試すこと。目的を明確に持ち続けること。
それを農業高校の生徒さんに伝えたこともあります。
家が農業だから大丈夫とか、農業なら自分でもできるとか。そんなしょうもない考えは捨ててくれ。日本では農業が一番かっこのいい仕事じゃないとダメなんだぞ! そういう言葉を素直に聞いてその後に活かしてくれた青年たち。
自分が生きる道は、ふつうじゃないかもしれないけれど、生きる上でとても大切なことを伝えることなんだと思ってるんです。
SAPGREENが思い描いてる風景の色には、“サップグリーン”が山にも海にも映ります。
そんな景色を思い浮かべながら来年は平和が取り戻されることを祈っていたいなぁと思います。
皆さま、今年もいろいろお世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。