私どものチキントラクターは、きちんと設置し、外周に防獣マットの敷設までやっておけば、獣害は99.9%防ぐことができます。
残りの0.1%は、いまだに中型以上の野犬に餌付けをしている地域があったりするため、例外としての数字です。
獣害対策の実証実験はこれまでに全国19か所、合計171の実験を行い設計、構造、施工方法、使用金物や部品など素材の選定などを標準仕様化し、製作しています。
獣害はありませんが、天敵動物は来ます。
そうするとチキントラクターはどうなるのか。そして、鶏への影響はどうかなどを今回はお話ししておこうと思います。
まず動物が来た痕跡を紹介します。
まず、こちらは、『防獣マットなし接地面溶接金網あり』の実験用チキントラクターです。
成鶏(ネラ)の入っているチキントラクターに大きな穴が掘られていますが、無事です。
これはキツネの仕業ですが、アナグマ、ハクビシンも同様に侵入しようとします。
この場合、鶏が産卵室か止まり木で寝ていれば朝までは無事ということが多いです。
次に防獣マットです。
侵入するために必要とするトンネルの長さを延ばすことで防御力に効果が表れています。
拡大していただければわかりますが、マットがない状態では外周に大きな隙間があります。
チキントラクター(特大ケージ)本体に最低3cm立ち上げて固定し、これをカバーするとこんな感じです。
実験では20cm幅の敷設で穴を掘ろうとする行動がなくなっていますが、念のため外周30cmをカバーすることを推奨しています。
動物別、ケージへアタックした形跡です。
《タヌキ》
《イタチ》
かなり引っ張った跡がありますが、ステンレス製の亀甲金網は粘り強度に優れていて切られたことがありません。
キツネも同様に金網を噛んで引きちぎろうとしますが、もう少し高い位置が多いです。キツネの知能の高さに驚くこともありましたが、どうしても破壊して侵入できないことがわかるとキツネの場合は同じタイプのチキントラクターに二度目に来ることはありませんでした。
また獣害については、
愛鶏を殺されて許せない。
天敵動物をこらしめたい。 という方が多いように思います。
私自身も愛鶏をヤられた経験がありますし、もちろんそのお気持ちはわかるんですが、生物多様性を尊重することも大事なことです。
私自身、チキントラクターの動物に破られない強度の実証実験を繰り返していた時に、夜中の2時頃に鶏が大騒ぎして飛び出して見にいった時に、懐中電灯の光に反射した瞳に小さいものがあって、母狐が子育てを必死にしている姿を見て、「憎き獣め!」という気持ちはなくなり、自分の中n
つまり全ての存在が生態系の中でバランスよく存在することが大事と考えると、どの天敵動物も生きていかなくてはなりませんし、考え方によってはうちの鶏以外のものを捕食しろというのもヒトの都合ですよね。もちろんチキントラクターにいる限り、大切な鶏は守りきるつもりですがね。
自然界の生態系を尊重して有意義に生きることは、有意義に死んでいくことと考えることもできるでしょう。
天敵動物がわざわざケージの中の鶏を襲うということは全般に彼ら自身が捕食するものがない状況に多い行動と言えます。
弊社チキントラクターでは、これまでに獣害はありませんが、なんらかの原因で自然の循環がうまく回っていないことを問題として、いっしょに少しずつでもできることがないか考えていきたいですね。
チキントラクターに天敵動物が来るということは、ケージ越しに鶏たちは動物から睨まれるということになります。
もちろん夜間だと鶏から見えることはありませんが、自分らが狙われている気配でショックを受けてしまいます。個体差はあるんですが、しばらくの間、卵を産まなくなったり、立てなくなる子もいます。
飼養者としては、鶏にいかに安心感を与えてやれるかは、信頼関係を築く上でも大事なことですし、そういう時こそスキンシップをはかったり声をかけてあげたいですね。