ただ今、個人様のご自宅に導入されるものとしては最大クラスと言っても過言ではない立派なチキントラクターの製作しています。
まさに今春デビューとなる同タイプは、ケージがセパレート式で独立した移動式鶏舎(産卵室)とくっつけて並べることで広々としたチキントラクターとなるものなんです。
こちらが完成間近の移動式鶏舎(産卵室)です。
そしてケージは、こちら。
向こう側に小屋がドッキングする形なんですが、両方合わせると1坪を超える広さになりますので、採卵用鶏は、20羽程度、烏骨鶏だと25羽以上の飼養も可能となります。
3Dの描画のように屋根の部分にターポリンのシートを被せることで、雨避けとすることができます。
アニマルウェルフェアとして、鶏をのびのびとした環境で、健康で感情豊かに飼育する上では、飼養面積が一つの基準として考えられ、EUでは1㎡に9羽以下というように定められています。
仮に1㎡に9羽とするとこのチキントラクターでは32羽も飼養できるということになりますが、例えば「卵は物価の優等生」と言われている日本の場合、同様に数値としての基準は定められてないんですが、ケージ飼育の養鶏場を基準に考えると、なんと72羽を飼養することになるんです。
もちろんチキントラクターは鶏がのびのびと草や虫を食べ、砂浴びをしながら健康的に過ごすことが目的です。たくさんになればなるほど草が足りなくなりますので、よく考えて飼いましょう。笑
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さて、今日のタイトルの『木づかい』は、気遣いに準えた言葉ですが、私たちは職人として常に心の中に刻んでいる言葉でもあります。
どれだけ難しい技術を用いても、神経を研ぎ澄まして材料を刻んで完成したとしても、気配りのない物はいい物とは言えない。
逆に自分が向き合ってる仕事が、思ってる以上に影響力のあるものだとしたら、やっぱり適当でいい加減な姿勢ではなく真摯に取り組むべき・・・。
なんやら難しいことを書いてるようですが、そんなことを考えているんです。
また次回、紹介させていただきますが、移動式鶏舎(産卵室)には、産卵箱が二つ設置します。
その産卵箱の製作について、少し紹介してみたいと思います。
材料は、チキントラクターと同じでACQ低温加圧注入の杉材です。
雨晒しで乾燥させてるというと、不思議なんですが、木材は雨に濡れても乾いていくんです。
ですから、場合によっては、“雨晒し”の木材を加工して箱を作ることもあるわけです。
ビスを使わず、今回は手打ちの釘。もちろんステンレス製で、スクリュー釘です。
“手打ち”が当たり前ではなくなった現代なので、金槌で釘を打つということも特別な感じですが、実際に特別な理由があって丁寧に打っています。
文章で詳しく表現するのが難しいのですが、一般的に金槌で釘を打つというとどんなことが大切だと思いますか?
おそらく大多数の方の答えは、『釘で木と木を固定する』と答えられるでしょう。それ以外だと、『金槌で手を叩かないように気を付ける。』という方もおられるかな。
もちろんどちらも間違いではありません。ただ、30年の高耐久性を謳ってる以上、求められるものはそれだけでは足りないのです。
我々が板に釘を打つ時に考えるのは板の繊維をどれだけ傷めずに打ち込めるか。簡単に壊れることがない箱であるためにどう打つのか。なんてことになるんです。
箱としての向きは違いますが、正確な四角の箱です。
ですが、材料はすべて反っていたりします。反った板、つまり、曲がったものをまっすぐにする釘の打ち方があるんですけど、ほんとにモノづくりは面白いですよね。
この産卵箱がどこにあるか、わかりますか?
木で作るには木を知ることがとても重要です。
杉もあれば桧もありますし、松もあります。それぞれ長所があれば短所もあるわけです。
それを活かして、お客様と鶏たちのために最高の環境を作ること。それが何よりも大切な『木づかい』です。