鶏耕活用術。チキントラクターを「農」というカテゴリーで活用するアイデアをご紹介しておりますが、第二回目は田んぼです。
田んぼのスケジュールで一般的に知られているのは田植えと稲刈りですよね。
田植えさえすれば稲が勝手に育つなんて思われてる方も多いのではないでしょうか?
先日、書かせていただきましたが、農家さんは稲が良く育つためにその前後や中間にいろんな仕事をされていて一般的な稲作のスケジュールでいうと、
3月 育苗、荒起こし(耕運)〜水張り
4月〜5月 代掻き
5月 田植え
5月〜9月 水管理、草取り
10月 稲刈り〜乾燥、脱穀 という感じです。
もちろんチキントラクターによる鶏耕を行うにはいくつか条件があって、それは一般的なものではないというよりも常識的ではないかもしれません。
まず、除草剤を使わないこと。つまり草を生やすことが条件の一つです。
そして、田んぼの準備の一つである耕運をしないことです。
春には春の、秋には秋の、それぞれの草が生い茂り種を実らせ子孫を残しますが、その種があるのに耕してしまうと、その種をわざわざ土に播くことになり、視点を変えれば毎年毎年わざわざ草を増やしていることになります。それに対して除草剤を使うというのは悪循環と言わざるをえません。
草の種は鶏にとってはエネルギッシュな餌となってくれますので、栄養のある貴重なものと言えます。
チキントラクターが移動性などを考えても耕さないほうがいいということになります。
ただ鶏と草、それぞれにタイミングがあって、食べて欲しい時にあまり食べてくれなかったり、食べない草というものもありますので、その場合、刈り取ることになります。
さて、
次にご紹介するのは、昨年の稲刈りの後。不耕起栽培田の様子です。
映像でもご紹介しています。
その後は、豪雪地帯の新潟十日町。雪が降るまでチキントラクターは圃場に設置します。
ちなみに鶏にとって冬の気温であったり、雪解けの水たまりなどがストレスかどうか、疑問に思われる方もいらっしゃいますが、氷点下15度前後の冬でもチキントラクターの中でふつうに過ごしています。水たまりはむしろミミズなどが出てくるのでバシャバシャと歩きまわって獲物を探していたりします。
強いて言えば、真っ白な雪がどう見えているのか、歩きにくいこともあるんでしょうが、歩きやすいところがあれば土や草の見えている場所を歩きます。
昨秋のチキントラクターの記録です。
10月20日から約1ヶ月で995㎡。雛も含めて33羽で10畝の鶏耕試験区をカバーした形になります。
そして、今年の春先からの田んぼの準備期間も同じようにチキントラクターを設置し、今度は主に草取りを鶏にやってもらいました。
鶏も選り好みをしたりして思うように草が減らないということがあります。
自走式の草刈機をかけてその上にチキントラクターを置くなど、いろいろ試みながら進めました。
鶏種や日齢にもよるのか、草を一番よく食べてくれたのは国産卵用種の中雛と大雛。
前置きが長くなりましたが、このあと、5月31日に田植えが終わり、鶏がいた場所の稲がどのように育っているか。
こちらが、耕運と施肥の田んぼです。
つい先日、アイガモが入りました。
そして、こちらが不耕起・チキントラクターの田んぼ。
一部、オモダカの群生したエリアを土ごと入れ替え中で水が少なくてわかりにくいかもしれませんが、土の入れ替え作業をしているところから手前が鶏耕試験区となります。
田植え後、2週間の様子がこちらです。
肥料もやってないのにすでに分けつしているのがわかりますよね。
鶏糞によって窒素が充分足りているということです。
足元の草はこれからアイガモが成長して面白いように除草しますので、その様子も追々お伝えしてゆきたいと思います。
このようにニワトリとアイガモがバトンをつなぐリレー田んぼは、決してラクしてズボラでは成り立たないのは確かなんですが、いかがでしょうか?
自然に負荷をかけないやり方だと水生生物もいますし、小さなものを大きな生物が食べるという食物連鎖があります。
それは本来自然にある姿であり、その豊かさの中でニワトリ やアイガモも丈夫に育ち、稲も驚くほどおいしい米を産み出してくれるというわけです。