今回から数回に分けてこれからチキントラクターのある夢の生活に関心をいただいてる皆さんにお伝えしたいことを書いてみたいと思います。
まず一般的な鶏の飼育環境ってどんなものでしょうか?
チキントラクターというものは、『移動できる鶏小屋』ということになります。
近づいていくと鶏小屋の独特なニオイとホコリがほとんどなくて、床がないからそこに草や土がある。これがチキントラクターの一番大切なポイントです。
ほかに寝床となる鶏舎があって、そこから日中だけチキントラクターに出るのではなくて、弊社がご用意するものは、基本24時間をチキントラクターに鶏が住むことができるということを設計しています。
(たくさんあるノウハウや素材の特性、応力のバランス、細かい設計意図は別の機会にお話しするとします。)
では、そこにご自分の愛鶏をいさせてあげる上で、考えることってどんなことでしょうか。
もちろん屋外に設置されたチキントラクターですから、自然災害や獣害の対策というものがありますよね。
その次にメンテナンス性、お世話(飼養管理)のしやすさ。そして、生体が気に入ってくれるかどうか、居住性や快適性ということになるでしょうか。
野生の生物も活発に動き始めるのがこの時期です。
すでに鶏を飼っておられる方、チキントラクターのユーザーを含めて、もう一度、「自然災害や獣害の対策」についてチェックしてみましょう。
自然災害には、凍結や積雪の荷重、風による影響。海岸近くだと塩害というものもあるでしょう。
紫外線の影響、意外なところでは電磁波など、考えることはとてもたくさんあります。
雨水や湿気による腐食、木が腐ってしまうことや金属が錆びるというものは、何かしら小さい力でも壊されてしまうぐらい強度をなくします。
腐った木材にシロアリがたかってしまうと木がウエハースのようにもろく崩れてしまうけど、そのシロアリが次にどこに行くかを考えると、建物への被害を防ぐには、ご自宅の近くにチキントラクターを置いておくことができないということも、愛鶏家にとっては大きな課題です。
獣害に備えるには動物の体力と習性を知ることが一番ですが、お使いになる周辺にどんな天敵動物がいるかどうかも把握されてることはまずなかったりします。
鶏を自然に土の上に出して遊ばせてあげたいし、目の前にある穏やかな草地に獰猛な野生動物がいる気がしないかもしれません。
獣害の後、連絡をいただく方の大半が、そこには天敵動物がいないと思っていたとおっしゃっています。あるいは、どこにでもいるあの野生動物がそんなに獰猛だと思いもしなかったという話。
朝、とれた新鮮な卵で朝ごはんを食べたり、かわいい鶏たちとガーデニングや畑の中で戯れたり、そんなほんわか楽しいイメージの裏側に、そんな面倒な課題もあるわけです、、、。
私どもは、どうすれば獣害の惨状からショックを受けられる方々を減らすことができるか、逆に鶏小屋に閉じ込められてなかったら、もしかしたら助かったかもしれない命のことを考えたり、、、。
10年前、納得できるチキントラクターを作るべく繰り返していた実験は、じつは商品化するためではなかったんです。
あくまでも自分自身が求める「自然とヒトのいい関係」のカタチを探っていたわけですが、想像以上に難しいとてもハードルの高い課題もありました。
例えば、金網をいかに強く張れるか。
強く張ることができればできるほど、怖いもんがないはず!と。
お話しできないこともありますが、思いこんでいる常識と実際は違うということが多々ありました。
私どもは長い間、建築に携わってきた職人でもありますので、チキントラクターや鶏舎、畜舎、あるいはペットケージもご依頼者様の地元の風土や気候、自然に馴染んだものをご用意したいと思っています。
地産地消といえば良く聞こえるかもしれません。でも、それも自然や鶏との調和には欠かせない。ただそれだけのことなので、特別なことではないと思っています。
《次回「チキントラクターを拡張する方法」に続きます。》