鶏を飼うご相談については、簡単な平面図(位置関係と寸法がわかるもの)とそこで何羽の鶏を飼いたいか。私どものチキントラクターとご自身で作られる“運動場”などを併せて活用されるのであれば、全体的にどんなふうな構成にしたいかを具体的に聞かせてください。
今回は、放し飼いできる“運動場” を作って、それにチキントラクターを組み合わせる場合のポイントを一緒に考えてみましょう。
まず、実際に運動場となる場所、あるいは簡単な平面図の前で最初のチェックを一緒にさせていただくことになります。
いつも大事にしているポイントを書き出してみます。
①フェンスの高さ
初めて鶏を飼うという方にとても多い誤解ですが、フェンスネットを設けたら簡単に飛び上がって外に出たとか、時々耳にします。笑
鶏は高さが2.5m程度までは飛び上がる子がいることを知っておいていただきたいです。
さらにそれと合わせて、空にも天敵動物がいること。
身近なところではカラス。猛禽類はヒトが見えない高さから見ています。
これに対しては、防鳥網などをうまく使うことで広い運動場を作ってあげることができます。
②広さとチキントラクターの位置関係
ネットで囲われた中にチキントラクターや鶏小屋など「寝床」があるとします。
さて、その敷地の形状や広さ、その中にあるチキントラクターの向きはどうでしょう?
夜間に鶏が寝るであろう場所。それは運動場の外からどういう位置にあるでしょうか。
私どもは、鶏がいるチキントラクターを実際に自然下に設置して、動物の反応や行動をチェックしてきました。その上で、彼らに打ち破ることができないチキントラクターを開発してきたわけです。実験で得られたデータなど、わかったことを全て書き出すことはできませんが、一つだけ面白いのをご紹介しようと思います。
まず、こちらの絵を見てください。
どちらもチキントラクターの鶏と外部からの視線ですが、
Aは止まり木にいる鶏。Bは地上にいる鶏です。
鶏のにおいに釣られてやってきた動物にとって、どちらもフェンス越しに見えているように思いますよね。
ところが、実際は見え方に大きく差があるようなんです。
ご自身で整えられた“運動場”の中に、チキントラクターがどんな位置にどんな向きに設置するかも同じようにポイントがあります。
良くない状況は避けたいですね。
③素材
ご自分で作られる運動場もステンレス製亀甲金網など、強度のある安心できるネットで囲ってしまわないと動物の襲撃には敵わない。さらにいくら頑丈な素材を使ってもしっかり隙間なく固定されてないと全く意味がない。それも間違いではありませんが、豆知識として動物がどこからどのように見えているかということをイメージできるといいです。
広さとチキントラクターの関係によって、条件が揃えば動物が襲う確率がかなり下がるということもあります。
高価だけれどしっかりした素材のものを使っておきたい部分とそれとは逆に強度は低いけれど有効に使える部分を組み合わせること。
チキントラクターの構造もそうですが、なかなか説明しにくい部分がいくつかあります。開口部の向き、ネットの材質、張り具合。。。
網も強く張れば張るほどいいかというと、そういうわけではない。
少し広いスペースの有効利用をお考えであれば、風が通り抜け、日光が降り注ぐ、雨も当たる。鶏により自然な環境を作ってあげていただきたいなと思います。
④剛と軟
なんでも構造を考えるときに材料そのものにかかる力として、「引張り」と「圧縮」をイメージします。目的もなく頑丈な部分は必要なく、日本古来の木造建築などは、重厚感があって利便性や快適性に優れていると言われますが、何よりも素晴らしいのは、建物そのものの柔軟性です。阪神淡路大震災の時に自分の故郷である奈良も相当揺れたわけですが、基礎に締結されてるわけではない法隆寺五重塔は数ミリずれただけで被害がなかったんです。築1,300年でなぜ壊れないのかと、誰かがその時代に構造計算ができたんじゃないかとか。笑
弊社がご用意するチキントラクターもまた同じで、柔軟性を持たせています。
そして、“動物が突破できることがない鶏舎”は「剛」ということになります。
それに対して、ご自身で作られる運動場は、チキントラクターの位置や向きなどセッティングを考慮することで、防鳥網など比較的柔らかい素材をうまく使うことができます。
もちろん侵入防止対策は必要ですが、鶏の飼養環境を整える中で参考にしていただきたいのと、弊社のものづくりをお伝えすることで、これからも安心できるものを追求したいと思っています。
まだまだお話ししきれないことはたくさんあります。皆さんのお庭や圃場も条件は様々ですよね。どこでどんなふうに鶏を飼ってあげたいか、なんでも気軽にご相談ください。何かしら有効なアドバイスができると思います。