皆さんは最近、何かご縁を感じることがあったでしょうか?
また、どんな人とどんなお話をされたでしょう。笑い合いましたか?^ ^
私どもも有り難いことにたくさんの方に声をかけていただいて、いつもいつもすべてのご縁に感謝しています。
それとは違うんですが、今日はもう一つのご縁というものについて、少しお話ししたいと思います。
屋内用の鶏のケージを製作させていただいたんですが、愛鶏家の若い女性の方のオーダーメイドのご依頼なんです。
早速、準備されていた資料をいただいて、お打ち合わせをしお見積りをさせていただきました。
とてもシンプルに寸法が記されていて具体的でわかりやすいですよね。
この内容を実現するためにどう作るかというのが、私どもの仕事です。
つまりどんな材料をどんなふうに組んで、どんな強度にするか。設計図から実際に形になった時の使い勝手はどうか。どんな意匠を目指すか。など本当に考えることは多いんです。
まず木工職人としては、木材の持つナチュラルさを、どうしても使いたいけど、軽く作ろうとしてむやみに細い材で組むと金網を張る力に負けてしまうでしょうし、形状も歪んだものになってしまいます。
「室内に置く鶏の居場所を作ってあげたい。」という飼い主さんのあたたかい思いは、どんな木材を引き合わせてくれるか。
じつはそれが、もう一つの大切なご縁です。
信じられないぐらい。ここでもどこから鶏の神様が見ているのか、気になったりします。
なんでこんなものを自分に。誰が、差し出しているのだろうかと、本当に感じさせられるんです。
今回だけじゃなくて、いつもいつも。
不思議ですけど、それを見るとほぼ同時に重なり合う複雑な加工も、それらを組み合わせるアイデアも浮かび上がってきます。技術云々ではない、得体の知れない不思議な力というものでしょうか。
あんまりスピリチュアルな話は通じにくいと思うんですが、和室に置かれることもわかっていたかのように今回は主材として桧(ひのき)を活かすことになりました。
どの木材をどの部分にどの方向で使うと最も良いか。
それを私たちプロの世界では“木取り(きどり)”といいます。
全工程で最も時間をとって木を見る時間です。考えがまとまったら、すぐに墨付けをして加工を始めます。
加工は、いい加減でいいことは何もないです。
桧の育った山も、この写真を見て産地がわかる方もおられるかもしれません。
この木の持つ力も鶏が落ち着くケージを作ってくれる大事な要素です。
どんなふうになるか。考えながら設計メモを書きながら、進めます。
金網はチキントラクターに標準採用しているステンレス製亀甲金網、16mm目合いのもの。
ちょくちょくお伝えしておりますが、ステンレス製は錆びにくくて美しいだけではないんです。粘り強度が高いステンレスはチキントラクターの場合は、獣害に強く、動物が切り裂くにはかなり難しい素材であることが一番ですが、もうひとつは、その粘り強度の高さからその網を構成する芯線(針金)を細いもので作られてるんです。
つまり中が見えやすく風も通りやすいということが言えます。
少し複雑ですが、金網部分と板の部分があるパネルを組み合わせて、
だいたいのボリューム感が現れました。
塗装はオスモのエキストラクリア。あくまでもナチュラルに木質を保護してもらいます。
高さは、問題がなければ少し高くすることを提案させていただき、いただいた図面より20cm高く70cmの高さになりました。
ようやく完成しました。いかがでしょうか?
敷き料(わらや籾殻などの敷きもの)が隙間からこぼれないように最大限の工夫をしています。
お客様にも大変喜んでいただきました。
ご自分の考えたものを本職のプロに依頼して、本当に良かったとお褒めの言葉をいただきました。